ミサト改造さる!

「一緒に住むことになったから」

 

 

「上司の言うことが聞けないっての?」

 

 

「生活当番もオールOKね」

 

 

「特製カレーよん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シクシク、碇クン・・・・・シクシク・・・・・」

 リツコの研究室、レイは『新世紀エヴァンゲリオン』の再放送を見ながら涙を流していた。

「碇クン!シクシク」

「レイ・・・・・・何回泣けば気が済むの?」

 リツコは隣りでコーヒーを飲みながら呆れていた。

「だって・・・・碇クンが葛城三佐の家政夫になっている・・・シクシク」

「確かに酷いわね。ミサトは保護者の自覚が全くないわね」

「はい、家事は一切やらずにビールをあおる大酒のみで料理はN2並です」

「・・・・・料理は研究の対象になるわね」

 ミサトの料理についてリツコは大変に興味があった。これまでに何度も研究したが、コード601であった。

「何とかなりませんか」

(またきたわね)

 リツコはレイの言葉がわかっていた。

「ええ、わかったわ。優しいお姉さんに任せ・・・・あら?レイ」

 その場にはすでにレイの姿はなかった。

「最後まで台詞を言わせなさい!」

 

 

 

 その日の夜、ネルフ本部でミサトは謎の白衣軍団に拉致された。

 

 

 

 その頃葛城家では・・・・

「ミサト、帰ってこないわね」

「うん、残業って言ってなかったけど」

 二人はミサトの事を話題に上げるも心配はしていなかった。

 

 

 次の日、二人はいつもの様に起き、いつもの様に朝食を取っていた。

「ミサトさん、帰ってこなかったね。忙しいのかな?」

「さあ、飲んだくれてんじゃないの」

「そうだね」

 まったく心配していない。

 プシュー

 そんな中、玄関のドアが開いた。

「ただいま」

「あっ帰ってきた」

 ミサトの帰宅である。

「お帰りなさい。仕事だったんですか?電話くらいしてくださいよ、心配しましたよ」

(ウソばっかし)

 アスカは心の中でつっこんだ。

 ポロポロ

「「えっ?」」

 突如ミサトの瞳から涙がこぼれた。

「ごめんなさい、シンジ君アスカちゃん、心配させちゃったわね」

「「ええっ!?!?」」

 いつもとは口調が違う、活発さがなく穏やかになっている事に二人は驚いた。

「ミ、ミ、ミミサト!いったいどうしたの?」

「ミサトさん!変なものでも食べたんですか?」

「シンジー食べ物が原因なんてないわよ」

「あっそうだね」

 二人は納得した。

 ポロポロ

「ふ、二人とも酷いわ。私は正常よ」

 顔を両手でおおい、また泣き出した。

「げえーまた、シンジ!何とかしなさい」

「何とかってどうするんだよ」

「考えなさい」

 面倒なことがイヤなアスカは全てシンジに押し付けた。

「ミ、ミサトさん。すいません、謝りますからもう泣かないでください」

「う、うう・・・・・ごめんなさい、泣いてばかりじゃ保護者失格ね」

「そ、そんなことないです。ご飯は食べたんですか?用意してありますから」

「うう、う・・・ありがとう。シンジ君」

 ミサトはニッコリ笑うとイスに座り、食べ始めた。

「おいし」

 その姿を見ながら二人はボソボソと呟きあっていた。

「絶対ヘンよ。あの変わりようは」

「僕達をからかっているのかな?」

 二人は疑問を抱えたまま学校に向かった。

 

 

 

 

 学校では二人はずっと疑問が頭から離れずに、その日は授業が頭に入らなかった。 

 そして二人は帰宅。

「「ただいま」」

「お帰りなさい」

「「え、ええっ!!」」

 また二人は驚いた。今度は服装、いつもなら短パンにTシャツというだらしない姿であったのだが、今はスカートにブラウスというお姉さん風の格好であった。

「どうしたの?驚いて」

 ミサトは二人の驚きがわからなかった。

「ミ,ミサトさん、そんな服持っていたんですか」

「やっぱり変だわ」

 ポロポロ

「ひ、酷い私だって女性ですもの、服ぐらいもっています」

 その場にしゃがみこみまた泣き出した。

「あわわ、シンジ!何とかしなさい」

「ミ、ミサトさん泣かないでくださいよー。似合っていますよ」

「本当?」

「え、ええ本当です」

 その言葉にミサトは涙を拭くとニッコリと笑った。

(ふうー疲れるわ)

 アスカは額を拭くとため息をついた。

「あ、凄い!」

 シンジはリビングの変わり様に驚いた。整理整頓がされており、ピカピカに光っていた。

「これミサトさんがしたんですか?」

「ふふふ、そうよ。お掃除とお洗濯をしていたの」

 シンジはベランダに眼をやった。そこには帰ってきてからするはずの洗濯物が全て干されていた。

「あっ本当だ」

 洗濯物を手に取り、ミサトの仕事をチェックする。流石は年季が入った主夫。

(か、完璧だ・・・・生地を痛めていないし、縮んでもいない、色落ちもしていない・・・・ここまでできるなんて)

 驚愕した。

「じゃあお夕飯のお買い物にいってくるから、ゆっくりしていてね」

「お買い物ですか、いってらっしゃ・・・ええ?ミサトさん!夕食を作るんですか?」

「ええそうよ」

 ミサトの料理、二人は思い出したくない思い出がある。

「ボソボソ・・・シンジ、大丈夫なの?」

「ボソボソ・・・わからないよ。でも大丈夫かもしれない」

「ボソボソ・・・どうしてよ?」

「ボソボソ・・・洗濯物を調べたじゃないか、そしたら全て完璧なんだよ。今までのミサトさんには考えられないんだ」

「ボソボソ・・・でも料理よ、料理」

「ボソボソ・・・僕も不安なんだけど、洗濯もできたんだから大丈夫と思うよ」

 二人は小声で話し合っている。ミサトはそんな二人を不安そうに見ていた。

「あのーシンジ君にアスカちゃん、どうしたの?」

「な、なんでもないです。いってらっしゃい」

「え、ええ。楽しみにしているわ」

「ふふ、今日は豪華にするわよ」

 ミサトは笑いながら家をでた。

「「ふうーーー」」

 ユニゾンで疲れたため息。

 

 

 そしてミサトは大量の材料を買ってきて、台所に篭った。二人はその様子を柱の影からしっかりと観察を始める。

「ボソボソ・・・・どうシンジ?」

「ボソボソ・・・・どうって何が?」

「ボソボソ・・・・アンタバカ?ミサトの調理よ」

「ボソボソ・・・・うん手際が良いよ。今までとは違うみたい」

「ボソボソ・・・・ふーん、大丈夫ね」

「ボソボソ・・・・うん」

 二人は今日は違うだろうと思い、リビングに戻った。そして・・・・・

「ご飯ですよー」

 テーブルに並べられた豪華な料理、シンジに負けず劣らず美味しそうである。

「うわー凄いじゃないミサト!」

「これをミサトさんが?」

「ふふ、今日は腕をふるったのよ。お腹いっぱい食べてね」

「「「いただきます!!!」」」

 パク!パク!パク!

 何の疑いも無く食べる二人。だが・・・・

 ドキューーーーーーン!!!

 二人の舌が衝撃を受けた。スローモーションで崩れ落ちる。

きゃああ!二人ともどうしたの?

 叫ぶミサト、虫の息の二人・・・・

「シ、シンジ・・・・・やっぱり・・・ミサトは・・・・ミサトね・・・・・」

「そ、そうだ・・・・・・ね・・・・・・」

 気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シクシク・・・・・碇クン・・・・・・」

 病院に運ばれた二人、性格は改造されたが料理の腕までは改造できなかったようだ。その後ミサトの性格は戻された。

 その件に関してのリツコの談

「私にもミサトの腕までは改造できないわ。永遠の研究課題ね」

「シクシク、碇クン」

 ミサトの改造は失敗に終わったのであった。


 ミサトさんの改造は失敗でした。性格は改造できましたが料理の腕が改造できないとね(^^)

 疑わずに食べたシンジ君とアスカちゃん、その衝撃は現存するN2以上の衝撃でしょう。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION ミサト改造さる!